区分所有・専有部分と共用部分
マンションは、各住戸の「専有部分」と、廊下・エントランス・エレベーター・外壁などの「共用部分」から成り立ち、区分所有法にもとづいて所有されます。売却するのは専有部分の所有権と、共用部分に対する持分、敷地利用権です。売主は自分の住戸だけを自由に処分できますが、共用部分の工事や管理は管理組合が決めるため、売却時にはその前提を買主に正しく伝える必要があります。
管理費・修繕積立金
管理費は共用部分の清掃・管理会社への委託費・光熱費などに、修繕積立金は将来の大規模修繕に備えて、区分所有者が毎月支払う費用です。売却時には、買主が引き継ぐ金額が価格の判断材料になるため、金額と滞納の有無を正確に示す必要があります。管理費・修繕積立金は、引き渡し日を基準に日割りで精算するのが一般的です。
修繕積立金の不足と値上げ
築年数が進んだマンションでは、積立金が将来の工事費用に足りず、段階的に値上げされたり、一時金を徴収されたりすることがあります。買主は積立金の残高や値上げの予定を確認するため、売却に不利に働く場合があります。売主は、長期修繕計画と積立金の残高を事前に確認しておくと、説明がスムーズです。
長期修繕計画
長期修繕計画は、将来に必要となる大規模修繕の時期と費用を見通す計画で、おおむね数十年単位で作成されます。計画の有無や見直しの状況、積立金との整合性は、買主の安心材料になります。管理組合の総会資料や管理会社に依頼して入手できる場合があります。
大規模修繕工事の履歴
外壁・屋上防水・給排水管などの大規模修繕を、いつ・どの範囲で行ったかは、マンションの価値に影響する情報です。直近で工事が済んでいれば買主の負担が軽くなる一方、近く予定されている場合は、費用負担の有無を確認されます。売却時は、実施済みの工事と予定を整理して伝えましょう。
管理規約・使用細則
管理規約・使用細則には、ペットの飼育、リフォーム、楽器の使用、民泊、駐車場・駐輪場の利用などのルールが定められています。買主は規約に従う義務を負うため、内容は購入判断に直結します。売却時には、重要事項説明のために管理規約の写しなどを用意する必要があります。
管理に関する重要事項調査報告書
管理会社が発行する書類で、管理費・修繕積立金の額や滞納の有無、大規模修繕の予定、規約の内容などが記載されます。売却の際に不動産会社が取得し、買主への重要事項説明に使われます。発行には、管理会社が定める手数料がかかる場合があります。
管理費等の滞納がある場合
売主に管理費等の滞納がある場合、買主が滞納分を引き継ぐ義務を負うことがあるため、決済までに清算しておくのが通常です。滞納が残ったまま売却を進めると、買主が不安を感じて成約が難しくなるほか、トラブルの原因になります。
専有面積(壁芯面積と内法面積)
マンションの専有面積には、壁の中心線で測る「壁芯面積」(パンフレット等で一般的)と、壁の内側で測る「内法面積」(登記簿上の面積)があり、内法面積のほうが小さくなります。売買契約書や登記と広告で面積が異なって見えるのはこのためで、売主は違いを理解して説明できるようにしておきましょう。
築年数と売却価格
一般に、築年数が経つほど建物の評価は下がる傾向があります。ただし、立地・管理状態・修繕の履歴・間取りなどによって、築年数が同じでも価格差が生じます。築年数だけでなく、管理組合の運営状況も評価に影響します。
旧耐震・新耐震
1981年(昭和56年)6月に建築基準法の耐震基準が改正され、それ以降に建築確認を受けた建物を「新耐震」、それ以前を「旧耐震」と呼ぶのが一般的です。旧耐震のマンションは、買主が住宅ローン控除や融資の面で不利になる場合があり、耐震診断や改修の実施状況が確認されます。
駐車場・駐輪場・トランクルームの扱い
マンションの駐車場や駐輪場、トランクルームは、専有部分とは別に区画ごとの使用契約になっている場合が多く、売却時に使用権を引き継げるかどうか、契約の名義変更が必要かを確認する必要があります。使用料や空き待ちの有無も、買主の関心事です。
過去のトラブル・不具合の説明
騒音・漏水・近隣トラブルなどの過去の経緯や、共用部分の不具合、管理組合内の揉め事は、買主の判断に影響する情報です。売主が知っている事実は、告知書や付帯設備表に正しく記載し、後のトラブルを避けましょう。
マンションの買取という選択肢
売却を急ぐ場合や、築年数が進んだ物件、事情のある住戸などは、不動産会社による買取を選ぶ売主もいます。買取は仲介より価格は低くなる傾向がありますが、短期間で確実に現金化できる点がメリットです。仲介と買取の両方の査定を比べ、事情に合う方法を選ぶとよいでしょう。