大規模修繕工事とは
大規模修繕工事はマンションの共用部分を計画的に修繕・改修する、工事です。外壁の補修・塗装、屋上・バルコニーの防水工事、鉄部(階段・手すり・扉)の塗装、給排水管の更新、エレベーターの改修などが、含まれます。
建物の劣化を防ぎ、資産価値を維持するために重要な工事で一般に12年程度の周期で実施されることが多いとされます。ただし、建物の状況・計画によって、異なります。
売却時に確認されること
- これまでの、大規模修繕の実施回数・実施時期
- 実施した工事の範囲(外壁・防水・給排水管・設備など)
- 工事費用と修繕積立金からの支出・一時金の徴収の有無
- 次回の大規模修繕の予定時期・概算費用
- 工事の品質(施工会社・保証・アフターサービス)
とくに、「直近に実施済みか」「近く、予定されているか」が買主の関心事です。
実施済みの場合・予定の場合
- 直近に実施済み:買主の短期的な負担が軽く、建物の状態も良好と評価されやすい。売却に有利に働く場合がある
- 数年前に実施済み:次回までの期間が長く、計画的な維持管理が評価される
- 近く予定されている:修繕積立金・一時金の負担が見込まれるため、買主が慎重になる場合がある。費用負担を明確にする
- 実施されていない・先送りされている:建物の劣化・将来の負担増が懸念され、価格が下がる場合がある
売主は管理組合の資料で履歴を確認し、買主に正確に説明しましょう。
資料の入手方法
- 管理会社・管理組合に依頼して、大規模修繕の履歴・工事報告書を取得する
- 長期修繕計画・総会議事録・修繕積立金の収支報告書を確認する
- 重要事項調査報告書に記載される、修繕の履歴・予定を確認する
詳しくは、管理に関する重要事項調査報告書、長期修繕計画の項目をご覧ください。
一時金・費用負担の取り決め
大規模修繕工事の費用負担(修繕積立金・一時金)が決議されている場合、売却のタイミングによって、売主・買主の負担が問題になります。
- 決議済みで、一時金の徴収が未了の場合:売主が負担するか、買主が負担するかを、契約で明記する
- 工事が実施中・直後の場合:一時金の支払い状況を確認する
- 工事が予定されているが、未決議の場合:予定を買主に告知する
契約書・重要事項説明書に費用負担の取り扱いを、明記しましょう。
売却のタイミング
大規模修繕工事の前後で売却のタイミングを考えることもあります。工事の前は修繕積立金の値上げ・一時金の徴収が予定され、買主が慎重になる場合があります。工事後は建物がきれいになり、買主の評価が高まる傾向があります。
ただし、工事の費用負担は売却前に区分所有者が負担している場合が多く、売却のタイミングは費用・価格・事情を総合して、判断します。
モデルケース:大規模修繕の直後に売却した例(イメージ)
Eさんは、築25年のマンションを売却しました。売却の1年前に2回目の大規模修繕工事が完了し、外壁・屋上防水・給排水管が更新されていました。
Eさんは、工事報告書・保証書・修繕積立金の収支報告書を買主に提示しました。買主は直近の修繕で建物の状態が良好であることを評価し、購入を決めました。修繕の履歴が売却に有利に働いた例です。