不動産売却大辞典|空き家・古家編

空き家や古家を売却する際によく出てくる「古家付き土地」「特定空き家」「解体費用」などの用語を13項目にまとめました。売却するか、解体するか、そのまま残すかを考えるときの整理にお役立てください。

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古家付き土地

古い建物が建ったままの状態で土地を売却する形態です。売主は解体費用を負担せずに済むため、売却時の初期費用を抑えられる点がメリットです。一方で、買主側は購入後に自ら解体する前提で価格を検討することが多く、更地に比べて売却価格が下がる傾向があります。建物の老朽化が進んでいる場合や、再建築を前提とする買主が多いエリアでは、古家付き土地として売り出すケースがよく見られます。

更地渡し

売主が建物を解体・撤去したうえで、更地の状態にして買主に引き渡す形態です。買主は解体費用や解体後の整地の手間を負担せずに済むため、住宅を新築したい層や、古い建物付き物件を敬遠する買主に対しては売却がスムーズに進みやすい傾向があります。一方で、解体費用は売主が先行して負担する必要があり、また解体後に買い手がすぐ見つからない場合は、固定資産税の住宅用地特例が受けられなくなる点にも注意が必要です。

現状渡し

建物や設備の修繕・清掃を行わず、現在の状態のまま買主に引き渡す取引条件です。売主にとってはリフォームや解体などの追加費用をかけずに売却できる点がメリットですが、契約不適合責任の範囲を契約書であらかじめ明確にしておくことが重要です。老朽化した空き家や古家では、現状渡しを前提とした売買が選ばれることが多く、価格面でも建物の状態が考慮されます。

解体費用の考え方

建物の解体費用は、構造(木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造など)、延床面積、立地条件(前面道路の幅員や重機の搬入可否)、アスベストの有無、地中埋設物の有無などにより大きく異なります。同じ延床面積でも、狭小地や重機が入りにくい立地では手作業が増え、費用が高くなる傾向があります。具体的な金額は物件ごとの現地調査を経て見積もりを取ることが基本であり、一律の相場を断定することはできません。

  • 複数の解体業者から相見積もりを取り、内訳を比較する
  • アスベスト調査や地中埋設物の有無を事前に確認する
  • 近隣への挨拶や道路使用の手配なども費用に含まれるか確認する

特定空き家

空家等対策特別措置法にもとづき、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態、著しく衛生上有害となるおそれのある状態、著しく景観を損なっている状態、その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると市町村長が判断した空き家を指します。特定空き家に指定されると、所有者は市町村から助言・指導、勧告、命令を段階的に受ける可能性があり、勧告を受けると固定資産税の住宅用地特例が解除されることがあります。命令に従わない場合は、行政代執行により強制的に解体されることもあります。

空家等対策特別措置法

全国的に増加する空き家問題に対応するため、2015年に施行された法律です。市町村が空き家の実態調査を行い、危険性の高い特定空き家等に対して助言・指導、勧告、命令、行政代執行といった段階的な措置を取れる枠組みを定めています。また、所有者には空き家を適切に管理する努力義務が定められているほか、市町村が空き家等に関するデータベースを整備し、空き家バンクを含む活用促進策を講じることも盛り込まれています。近年の改正では、管理不全な空き家についても勧告の対象となるなど、対象範囲が広がっています。

空き家バンク

自治体が空き家の情報を収集し、利用を希望する購入者・賃借希望者に向けて情報提供を行う制度です。売主・貸主は自治体の窓口やウェブサイトを通じて物件情報を登録し、移住や二地域居住を検討する利用者とのマッチングを図ります。運営方法や登録条件、成約時の支援(改修費補助など)の有無は自治体ごとに異なります。通常の不動産流通市場での売却に加えて、空き家バンクへの登録も選択肢のひとつとして検討されることがあります。

老朽家屋のリスク

管理が行き届かない老朽家屋には、さまざまなリスクが伴います。台風や地震などで屋根材や外壁が崩落し、隣接地や通行人に被害を及ぼす可能性があるほか、不法侵入や不法投棄、放火のリスクも高まります。害虫や害獣の発生源となることや、庭木の越境・雑草の繁茂により近隣とのトラブルに発展することもあります。所有者はこうしたリスクを認識したうえで、早めの管理や売却の検討が求められます。

残置物処分の進め方

空き家を売却・解体する前には、家具や家電、衣類、思い出の品などの残置物を整理する必要があります。一般的には、まず貴重品や重要書類、形見として残したい品を選別し、そのうえでリサイクル可能な品は買取や寄付、その他は不用品回収業者や廃棄物処理業者に依頼して処分を進めます。仏壇や神棚などは、閉眼供養(魂抜き)を行ってから処分するケースもあります。処分費用は物量や作業内容によって幅があるため、事前に業者から見積もりを取ることが一般的です。

空き家の管理義務

空き家であっても、所有者には民法上、他人に損害を及ぼさないよう適切に管理する責任があります。空家等対策特別措置法においても、所有者等は空き家を周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう、適切に管理する努力義務を負うとされています。具体的には、定期的な見回り、庭木の剪定、郵便物の整理、通風・換気などが挙げられます。遠方に居住していて自ら管理することが難しい場合は、管理代行サービスの利用や、売却による所有権の移転を検討することも一つの方法です。

固定資産税の住宅用地特例と空き家

住宅が建っている土地には、固定資産税の課税標準額を減額する「住宅用地特例」が適用され、更地に比べて税額が軽減されています。しかし、特定空き家に指定されて勧告を受けると、この特例の対象から除外され、翌年度以降の固定資産税・都市計画税が増額される可能性があります。「古い家を残しておけば税金が安いままだろう」という考え方は、管理不全な状態が続けば必ずしも当てはまらなくなる点に注意が必要です。

空き家の火災保険・管理リスク

空き家は人の出入りがなく異常の発見が遅れやすいため、火災や漏水などが発生した場合に被害が拡大しやすい傾向があります。居住用と空き家用とでは火災保険の契約条件や補償内容が異なる場合があり、契約している保険会社に空き家であることを申告していないと、万一の際に補償を受けられないおそれもあります。また、老朽化した設備からの漏水が近隣に被害を及ぼした場合、所有者が損害賠償責任を問われる可能性もあるため、空き家である旨を保険会社に確認しておくことが望まれます。

解体に関する補助金制度

自治体によっては、老朽化した空き家の解体を促進するため、解体費用の一部を補助する制度を設けている場合があります。対象となる空き家の要件(特定空き家に該当するか、耐震性が不足しているかなど)、補助対象となる費用の範囲、補助率や上限額、申請時期は自治体ごとに異なり、毎年度の予算状況によって制度自体が実施されない年もあります。制度の有無や詳細は、物件所在地の自治体窓口に個別に確認することが基本です。

ご確認ください

本ページの内容は一般的な空き家・古家の売却に関する情報です。解体費用や適用される制度は物件・自治体によって異なります。個別のご判断は必ず不動産会社や自治体窓口にご確認ください。

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