不動産売却大辞典|登記・法律編

不動産の売却では、登記手続きや都市計画法・建築基準法・農地法といった法律用語が数多く登場します。売主として最低限知っておきたい16の用語を、わかりやすく整理しました。

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所有権移転登記

所有権移転登記とは、不動産の売買によって所有者が変わったことを、法務局の登記記録(登記簿)に反映させる手続きです。売買契約とお金の決済が完了しても、この登記を行わなければ、法律上「誰が所有者か」を第三者に主張することができません。そのため通常は、決済と同じ日に司法書士が法務局へ申請を行い、名義を売主から買主へ書き換えます。登記が完了すると、買主の名前が新しい登記記録上の所有者として記載されます。

抵当権抹消登記

抵当権抹消登記とは、住宅ローンなどの担保として設定されていた抵当権を、登記記録から消す手続きです。売却代金でローンを完済すると、金融機関から抵当権抹消に必要な書類が発行されます。買主への所有権移転登記と同時に、この抹消登記も行うのが一般的な流れです。抵当権が残ったままの不動産は、買主にとって担保付きの不安定な状態となるため、決済時に必ず抹消することが求められます。

表題登記・保存登記

表題登記は、建物を新築した際などに、その建物の所在・構造・床面積といった物理的な情報を登記記録に新しく作る手続きです。土地家屋調査士が調査・測量を行い申請します。これに対し保存登記は、表題登記がされた不動産について、初めて所有権を登記する手続きで、司法書士が担当します。中古住宅の売却では直接関わる場面は少ないものの、新築時にこの2つの登記を経て初めて不動産として登記記録が完成することを知っておくと、登記全体の仕組みが理解しやすくなります。

登記識別情報(権利証)

登記識別情報とは、不動産の所有者であることを証明するために法務局から通知される、12桁の英数字からなる符号のことです。以前は紙の「登記済権利証」が発行されていましたが、オンライン化に伴い、現在は登記識別情報通知として発行されるようになりました。一般には「権利証」と呼ばれ続けています。売却時には、この符号が売主本人であることを確認する重要な書類の一つとなるため、紛失している場合は司法書士に早めに相談し、本人確認情報の作成など代替手続きの準備を進める必要があります。

境界確定測量

境界確定測量とは、隣接する土地の所有者に立ち会ってもらいながら、土地の境界がどこにあるかを確認し、測量によって正確な面積・形状を確定させる手続きです。土地家屋調査士が現地で測量を行い、隣地所有者との間で境界の位置について合意が得られると、境界確定図や筆界確認書などの書類が作成されます。境界があいまいなまま土地を売却すると、後日トラブルに発展することがあるため、特に古くから所有している土地では、売却前に境界確定測量を実施しておくことが望ましいとされています。

確定測量図・現況測量図

確定測量図とは、隣地所有者全員の立ち会いと合意のもとで境界を確定させ、その結果を図面化したものです。一方、現況測量図は、隣地所有者の立ち会いを経ずに、現地にある塀やフェンスなど目に見える境界の目印をもとに、おおよその面積・形状を測量した図面を指します。確定測量図の方が法的な信頼性は高いとされますが、作成には時間と費用がかかります。売却の際は、どちらの図面を用いるかによって、境界に関する説明の精度が変わってくる点を理解しておくとよいでしょう。

越境物

越境物とは、隣地との境界線を越えてはみ出している塀・屋根・樹木の枝・給排水管などのことです。長年にわたり少しずつ生じることが多く、売主・買主双方が気づかないまま放置されているケースも少なくありません。越境物があると、将来的に建て替えや配管工事の際に隣地との調整が必要となるため、売却前に越境の有無を確認し、隣地所有者との間で「越境の覚書」を取り交わしておくと、買主にとっても安心材料となります。

  • 越境の例:ブロック塀の一部、屋根の軒先、庭木の枝、給排水管の埋設位置など
  • 対応方法:現況の確認、隣地所有者との協議、覚書の取り交わしなど

都市計画法

都市計画法は、無秩序な市街化を防ぎ、計画的なまちづくりを進めるために定められた法律です。都市計画区域を指定し、その中で市街化区域・市街化調整区域といった区域区分や、用途地域、道路・公園などの都市施設の計画を定めています。不動産の売却においては、対象の土地がどの区域・地域に属しているかによって、建てられる建物の種類や規模が大きく変わってくるため、都市計画法は登記・法律編の中でも特に重要な基礎知識のひとつです。

市街化区域・市街化調整区域

都市計画法では、都市計画区域を「市街化区域」と「市街化調整区域」に分けることがあります。市街化区域は、すでに市街地が形成されている、またはおおむね10年以内に優先的・計画的に市街化を進める区域で、住宅や店舗などを比較的自由に建てられます。これに対し市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域とされ、建築には都市計画法にもとづく許可が必要になる場合があります。市街化調整区域の詳しい内容は、市街化調整区域とは?のページでも解説していますので、あわせてご参照ください。

用途地域

用途地域とは、都市計画法にもとづき、土地の利用目的に応じてエリアを区分し、建てられる建物の種類や用途を制限する制度です。第一種低層住居専用地域、近隣商業地域、工業地域など、住居系・商業系・工業系を合わせて13種類の地域があります。用途地域によって、後述する建ぺい率・容積率の上限や、日影規制などの建築ルールも異なります。売却する土地がどの用途地域に指定されているかは、市区町村の都市計画課や都市計画図で確認することができます。

建ぺい率・容積率

建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積(建物を真上から見たときの面積)の割合を指し、「建築面積 ÷ 敷地面積 × 100」で計算します。容積率とは、敷地面積に対する延べ床面積の割合を指し、「延べ床面積 ÷ 敷地面積 × 100」で計算します。たとえば建ぺい率60%・容積率200%の敷地100㎡であれば、建築面積は最大60㎡、延べ床面積は最大200㎡が目安となります。これらの数値は用途地域ごとに上限が定められており、その土地にどれくらいの規模の建物を建てられるかを判断する重要な指標です。

セットバック(道路後退)

セットバックとは、建築基準法上の道路の幅員が4メートル未満の場合に、道路の中心線から2メートル後退した位置まで敷地を後退させる義務のことです。いわゆる「42条2項道路」に接する土地でよく発生します。セットバックした部分は、将来的に道路として扱われるため、建物を建てることはできず、原則として塀や門なども設置できません。セットバックが必要な土地は、実際に使える敷地面積が登記簿上の面積より小さくなるため、売却時には買主への説明が特に重要になるポイントです。

接道義務

接道義務とは、建築基準法により、建物を建てる敷地は原則として幅員4メートル以上の道路に2メートル以上接していなければならないというルールです。この要件を満たさない土地は、原則として建物の建築や建て替えができない「再建築不可」の状態になることがあります。接道義務を満たしているかどうかは、土地の資産価値や売却のしやすさに大きく影響するため、売却を検討する際は前面道路の種類や幅員、間口の長さを事前に確認しておくことが重要です。

私道負担

私道負担とは、敷地の一部が個人や複数人が所有する私道になっており、その私道部分の所有権や維持管理の負担を含んだ状態で土地を所有していることを指します。私道部分は建築面積に算入できないことが多く、また私道の舗装や補修の費用を持分に応じて負担する場合もあります。売却の際は、私道の持分割合や、掘削・通行に関する承諾(掘削承諾書・通行承諾書)の有無を確認しておくと、買主への説明がスムーズになります。

農地転用(農地法)

農地転用とは、農地法にもとづき、農地を宅地や駐車場などの農地以外の用途に変更する手続きです。農地のまま売買・転用することは原則としてできず、市街化区域内の農地であれば農業委員会への届出(農地法第4条・第5条の届出)、市街化調整区域などではより厳格な許可(農地法第4条・第5条の許可)が必要になります。相続などで農地を取得し、売却を検討する場合は、まず農地法上どのような手続きが必要かを、農業委員会や不動産会社に確認することが第一歩となります。

筆界特定制度

筆界特定制度とは、土地の境界(筆界)について隣地所有者との間で意見が一致しない場合に、法務局に筆界特定登記官と筆界調査委員を置き、資料や現地調査にもとづいて筆界の位置を特定する制度です。裁判の境界確定訴訟に比べて、比較的短期間・低コストで筆界を明らかにできる点が特徴です。境界確定測量で隣地所有者の同意が得られない場合の選択肢の一つとして、この制度を利用できることを知っておくと安心です。

本ページの内容は一般的な登記・法律制度に関する情報です。法令は改正される場合があり、個別の土地・建物の状況によって適用が異なります。個別のご判断は必ず司法書士・土地家屋調査士・不動産会社等の専門家にご確認ください。

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