評価の目的による違い
- 相続税の申告:相続税評価額(路線価・倍率方式・固定資産税評価額)で評価する
- 遺産分割協議:時価(実勢価格)で評価するのが、公平とされる
- 代償分割・遺留分の計算:時価で評価する
- 売却:実勢価格(成約価格)が基準になる
- 譲渡所得の計算:取得費は被相続人の取得費を引き継ぐ
同じ不動産でも、目的によって、評価額が異なるため、混同しないよう、注意が必要です。
相続税の評価方法
- 土地:路線価方式(路線価が設定されている地域)または、倍率方式(固定資産税評価額 × 倍率)
- 建物:固定資産税評価額(自用の建物は評価額と同じ)
- 貸家・貸家建付地:借家権割合・借地権割合などを、考慮して、減額される
- 広大地・不整形地・間口が狭い土地などは、補正(減額)がある
小規模宅地等の特例
相続した、宅地のうち、一定の要件を満たす場合に評価額を最大80%減額できる特例です。被相続人の自宅の敷地(特定居住用宅地等)・事業用の敷地・貸付用の敷地などが、対象です。
適用の要件は細かく、取得者・利用状況・面積(330平方メートルまで等)などが、定められています。売却を予定している場合は特例の要件との、関係を事前に確認しましょう。たとえば、相続税の申告期限まで居住や保有を継続する必要がある場合があります。
遺産分割での評価
遺産分割協議では、不動産の評価額が相続人の取得額を決める基準になるため、評価方法を巡って、意見が分かれることがあります。相続税評価額は時価より低くなる傾向があるため、公平性の観点から時価(実勢価格)による、評価が望ましいとされます。
客観的な評価を得るために複数の不動産会社の査定や不動産鑑定士の鑑定評価を利用して、相続人全員が納得できる、評価額を決めましょう。詳しくは、不動産鑑定評価の項目をご覧ください。
売却時の評価
相続した不動産を売却する際は実勢価格(成約価格)が基準になります。不動産会社の査定で実際にいくらで、売れるかを、確認し、売り出し価格を決めます。売却価格が相続税評価額と異なっていても、問題はありませんが、売却益が出た場合は譲渡所得税が課される点に注意しましょう。
また、相続税評価額が時価より高い場合(まれ)は更正の請求により、相続税が還付される可能性があります。税理士に確認しましょう。
評価額を確認する方法
- 路線価・倍率:国税庁の路線価図・評価倍率表で確認する
- 固定資産税評価額:納税通知書・固定資産評価証明書で確認する
- 時価:不動産会社の査定・不動産鑑定評価・取引事例(国土交通省・レインズ)で確認する
相続した不動産の全体像を把握するために名寄帳もあわせて、取得しておくと、役立ちます。詳しくは、名寄帳の項目をご覧ください。
モデルケース:評価の違いを、理解して、協議がまとまった例(イメージ)
Gさんと、妹は実家の評価を巡って、意見が分かれていました。Gさんは、固定資産税評価額(1,800万円)を妹は不動産会社の査定(3,000万円)を主張しました。
2人は不動産鑑定士に鑑定評価を依頼し、客観的な時価(約2,900万円)を確認しました。時価をもとに、代償分割の金額を決め、協議がまとまりました。評価の基準の違いを、理解し、公平な評価を採用した例です。