境界明示義務とは
境界明示義務とは、土地や土地付き建物の売買において、売主が買主に対して、売買の対象となる土地の範囲(境界)を明らかにして、示す義務のことです。法律で一律に定められているわけではありませんが、売買契約書に「売主は買主に対して、引き渡しの日までに、境界を明示する」といった、特約を設けるのが、一般的です。
買主は購入する土地の範囲を正確に知る必要があります。境界が曖昧なままだと、購入後に隣地所有者との、トラブルが生じるおそれがあるため、売主に境界の明示を求めるのが、通常です。
境界の明示の方法
境界を明示するには、次のような方法があります。
- 現地の境界標(コンクリート杭、金属標、プレートなど)を買主に示す
- 測量図・境界確認書などの、書類で境界の位置を説明する
- 隣地所有者の立ち会いのもと、境界を確認して、確定する(確定測量)
- 境界標がない場合は土地家屋調査士に依頼して、復元・設置する
売主が境界を明示できるかどうかは、境界標の残存状況や測量図の有無によって決まります。
境界が不明確な場合の対処
古い土地では、境界標が失われていたり、位置がずれていたりすることがあります。この場合は土地家屋調査士に依頼して、境界の調査・測量を行います。必要に応じて、隣地所有者と立ち会い、境界を確認します。
確定測量には、数か月かかる場合があり、費用もかかります。売却のスケジュールに影響するため、売却を決めた段階で早めに、境界の状況を確認しましょう。詳しくは、確定測量、境界標の項目をご覧ください。
売買契約書の条項
- 売主は引き渡しの日までに、境界標を明示する
- 境界が確定していない場合は売主が確定測量を実施する(費用は売主が負担する)
- 境界の明示ができない場合は買主は契約を解除できる
- 越境物がある場合はその内容と取り扱いを、記載する
契約書の特約は売主の負担に大きく影響します。測量を売主負担とするのか、買主が現況のまま購入するのか、契約前に確認しましょう。
境界明示義務を果たせなかった場合
売主が境界を明示できず、買主との、約束を果たせなかった場合は契約の解除や損害賠償を求められる可能性があります。とくに、契約書に境界明示の特約があるのに、明示できなかった場合は債務不履行となる場合があります。
また、引き渡し後に隣地との境界でトラブルが生じた場合も売主の責任を問われる可能性があります。境界の問題は売却後も長く、影響が残るため、事前に整理しておくことが重要です。
現況のまま売却する方法
測量や境界の確定を行わずに、現況のまま、売却する方法もあります。この場合は契約書に「境界は現況有姿とし、売主は境界の明示を行わない」といった、特約を設けます。買主もこの条件を了承して、購入するため、価格が下がる傾向があります。
買取業者への売却では、現況のまま、取引できる場合が多くあります。測量の費用と手間を避けたい場合に有力な選択肢です。
モデルケース:境界を明示して、スムーズに売却できた例(イメージ)
Eさんは、相続した、土地を売却することになりました。境界標が一部、見当たらなかったため、土地家屋調査士に依頼して、確定測量を行いました。隣地所有者との立ち会いで、境界を確認し、境界標を設置しました。
売却の際には、確定測量図と境界確認書を買主に提示しました。買主は安心して、購入を決め、契約はスムーズに進みました。測量には、数か月と費用がかかりましたが、売却後のトラブルはありませんでした。