筆界特定制度とは
筆界特定制度は2006年に始まった制度で土地の所有者などの、申請に基づいて、法務局の筆界特定登記官が現地調査や資料の調査を行い、土地の筆界(登記上の境界)の位置を特定する手続きです。
「筆界」とは、土地が登記された、時に定められた、公的な境界のことです。所有者同士が合意で決める「所有権界」とは、異なる概念です。筆界特定はあくまで、筆界の位置を示すもので、所有権の範囲を確定するものではありません。
制度を利用する場面
- 隣地所有者との間で境界の位置について、意見が一致しない
- 境界標が失われて、境界の位置がわからない
- 隣地所有者の所在が不明、または、立ち会いに、協力してもらえない
- 確定測量を行いたいが、境界の確認が進まない
- 裁判を避けて、境界の位置を明らかにしたい
売却を進めたいのに、境界の確認が停滞している場合に有効な手段です。
手続きの流れ
- 土地の所有者などが、法務局に筆界特定の申請を行う
- 筆界特定登記官が申請を受け、関係する土地の所有者に通知する
- 筆界調査委員(土地家屋調査士など)が現地調査と資料調査を行う
- 意見聴取・資料の検討を経て、筆界特定登記官が筆界を特定する
- 特定された筆界を記載した、筆界特定書が交付される
手続きには、半年から1年程度かかる場合があります。申請の手数料(土地の価額に応じた額)と測量費用などが、必要です。
筆界特定の効力
筆界特定の結果には、法的な拘束力はありません。当事者が結果に不服の場合は裁判(境界確定訴訟)を起こすことができます。しかし、筆界特定書は登記官が専門的な調査にもとづいて、作成した資料であり、裁判でも、有力な証拠として、扱われます。
また、特定された筆界は法務局に保管され、将来にわたって、境界を証明する、資料となります。
売却での活用
境界が不明確で確定測量が進まない場合、筆界特定制度を利用すると、筆界の位置が明らかになり、測量や売却が進むことがあります。買主にとっても、法務局が特定した筆界は信頼性の高い、情報です。
ただし、時間と費用がかかるため、売却のスケジュールに影響します。売却を急ぐ場合は買取業者に現況のまま、売却する方法も検討しましょう。詳しくは、境界確定測量の項目をご覧ください。
裁判との違い
- 筆界特定:法務局が筆界の位置を特定。簡易・迅速。法的拘束力はない
- 境界確定訴訟:裁判所が境界を確定する。時間と費用がかかるが、判決に法的な拘束力がある
- ADR(裁判外紛争解決手続き):土地家屋調査士会の境界問題相談センターなどによる、あっせん・調停
状況に応じて、適した手段を選びます。まずは、土地家屋調査士に相談しましょう。
モデルケース:筆界特定で売却が進んだ例(イメージ)
Yさんは、売却する土地の境界について、隣地所有者と意見が合わず、確定測量が進みませんでした。土地家屋調査士に相談し、筆界特定制度を利用しました。
半年ほどで、筆界特定書が交付され、境界の位置が明らかになりました。隣地所有者も結果を受け入れ、確定測量が完了しました。買主には、筆界特定書と確定測量図を提示し、安心して、購入してもらえました。