換価分割とは
換価分割は遺産を売却して、現金化し、その代金を相続人間で分配する、遺産分割の方法です。「換価」とは、財産を売却して、金銭に換えることを意味します。
不動産は1つの物件を物理的に分けることが難しく、相続人の誰もが、取得を希望しない場合や公平に分けるのが、難しい場合に換価分割が選ばれます。
メリットとデメリット
- メリット:相続人間で公平に分けやすい。管理・維持の負担から解放される。現金で受け取れるため、生活資金・納税資金に使える
- デメリット:売却に時間と費用がかかる。市況によって、価格が変動する。思い入れのある、実家を手放すことになる。譲渡所得税が課される場合がある
売却を前提とするため、相続人全員の合意が必要です。
売却までの流れ
- 相続人を確定し、遺産分割協議で換価分割に合意する
- 遺産分割協議書を作成する(売却の代表者・分配方法を明記)
- 相続登記を行う(代表者の単独名義、または、相続人全員の共有名義)
- 不動産会社に査定を依頼し、売却活動を開始する
- 売買契約・決済を行い、売却代金を受け取る
- 費用・税金を差し引いて、代金を相続人に分配する
売却のスケジュールは相続税の申告期限(10か月)や取得費加算の特例の期限(3年10か月)を意識して、進めましょう。
相続登記の方法
換価分割では、売却前に相続登記を行う必要があります。方法は主に次の2つです。
- 代表者名義で相続登記する:売却を担当する、相続人1人の名義に登記し、その人が売却の手続きを、行う
- 相続人全員の共有名義で相続登記する:全員の名義で登記し、売却には、全員の署名・押印が必要になる
手続きの簡便さから、代表者名義で登記するケースが多いですが、他の相続人の同意と信頼関係が必要です。詳しくは、相続登記の義務化の項目をご覧ください。
税金の取り扱い
- 譲渡所得税:売却益が出た場合に相続人が取得した、割合に応じて、課される(取得費は被相続人の取得費を引き継ぐ)
- 相続税の取得費加算:相続税を納めた人が相続から3年10か月以内に売却した場合に取得費に加算できる
- 相続空き家の特例:要件を満たす場合に3,000万円特別控除
- 代表者名義の場合の税務:代表者が売却して、代金を分配すると、贈与とみなされる場合がある(協議書で換価分割と明記する)
税務上の取り扱いは、複雑です。必ず、税理士に相談しましょう。詳しくは、売却にかかる税金と特例のページをご覧ください。
モデルケース:換価分割でスムーズに分けた例(イメージ)
Tさん・Uさん・Vさんの兄妹3人は亡くなった親の実家を相続しました。3人とも、遠方に住んでおり、誰も実家に住む予定はありませんでした。遺産分割協議で換価分割に合意し、Tさんを、売却の代表者としました。
Tさん名義で相続登記を行い、不動産会社に売却を依頼しました。3か月後に売却が決まり、費用・税金を差し引いた代金を3等分しました。協議書に分配方法を明記していたため、トラブルなく、完了しました。