住宅ローン控除とは
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は住宅ローンを利用して、住宅を購入・新築・増改築した場合に年末のローン残高の一定割合を所得税(や住民税の一部)から差し引くことができる制度です。控除期間は通常、10年または13年で居住を開始した年から適用されます。
売却を考えるときはこの控除との関係を整理しておく必要があります。売却した住宅について、控除を受け続けることはできず、売却した後は新居に新たな控除を受けられるかが、焦点になります。
売却した住宅の控除はどうなるか
住宅ローン控除はその年の12月31日まで引き続き、その住宅に居住していることが要件です。年の途中で住宅を売却して、転居した場合はその年から控除は適用されません。
たとえば、2022年に入居して、控除を受けていた住宅を2026年の6月に売却した場合、2026年分から控除は受けられません。2025年分までの、控除はすでに、受けているため、遡って、返還する必要はありません。
売却して、新居を購入する場合
住み替えで、新居を購入する場合は新居について、住宅ローン控除を受けられる場合があります。新居の控除期間は新たに、居住を開始した年から始まります。要件(ローンの返済期間10年以上、床面積50平方メートル以上、合計所得金額が一定以下など)を満たす必要があります。
なお、前の住宅の控除の残りの期間を新居に引き継ぐことはできません。新居で新たに、控除期間がスタートします。住み替えのタイミングや新居の購入計画は控除の観点からも、検討すると良いでしょう。
3,000万円特別控除との関係
売却した住宅について、3,000万円特別控除を受ける場合、その住宅の住宅ローン控除は売却した年(居住しなくなった年)以降、受けられません。もともと、売却した年には、控除を受けられないため、実質的には、併用の問題は生じにくい関係です。
ただし、新居の購入を伴う場合は売却時に3,000万円特別控除や買換えの特例を利用して、新居では、住宅ローン控除を受けるといった、組み合わせは、可能です。ただし、買換えの特例(特定の居住用財産の買換えの特例)を使うと、新居の住宅ローン控除が受けられない場合があります。要件をよく確認しましょう。
買い先行・売り先行での注意
- 買い先行(新居を先に購入):新居と旧居の両方にローンがある期間が生じる。旧居で住宅ローン控除を受けている場合、新居に転居した年から旧居の控除は終了する
- 売り先行(旧居を先に売却):旧居の控除は売却した年から終了。新居を購入し、居住を開始した年から新居の控除が始まる
- 住み替えの年は旧居・新居の両方で居住の実態を確認する必要がある
どちらの順序を選ぶかによって、控除を受けられる、年数や金額が変わる場合があります。住み替えの計画段階で税理士に相談しておくと、安心です。
よくある誤解と注意点
誤解1:「売却後も住宅ローン控除は続けられる」。売却して、居住しなくなった年から控除は受けられません。
誤解2:「住宅ローン控除の残りの期間は新居に引き継げる」。新居では、新たな、控除期間が始まります。
誤解3:「3,000万円控除と住宅ローン控除は同じ年に必ず両方使える」。売却した住宅については、売却年から住宅ローン控除は受けられません。
税制は改正されることがあります。実際の申告・判断にあたっては、必ず、税理士や税務署に最新の内容をご確認ください。
控除を受ける場合の手続き
住宅ローン控除を受けるためには、初年度は確定申告が必要です。2年目以降は会社員であれば、年末調整で控除を受けられます。住み替えをした年は旧居の控除が終了し、新居の控除が始まるため、申告の内容が複雑になります。
住み替えの年は税務署や税理士に相談しながら、確定申告を行うことをおすすめします。必要書類(売買契約書、登記事項証明書、ローン残高証明書、住民票など)をあらかじめ、準備しておきましょう。
モデルケース:住み替えで、控除の対象が移った例(イメージ)
Pさんは、2020年に購入した住宅で住宅ローン控除を受けていました。2026年に転勤に伴い、この住宅を売却し、同じ年に新居を購入しました。
売却した住宅は2026年分から控除の対象外となりました。新居には、2026年に居住を開始したため、2026年分から新たな、住宅ローン控除を受けられる場合があります。売却による、売却益は3,000万円特別控除を使って、課税をなしにしました。
このように、売却と新居の購入を一体で計画することで、税負担を抑えながら、住み替えを、実現できる場合があります。