残債の確認が重要な理由
住宅ローンが残っている不動産を売却するには、売却代金で残債を完済して、抵当権を抹消する必要があります。売却価格が残債を上回っていれば、問題ありませんが、下回る場合は不足分を自己資金などで、補う必要があります。
このため、売却を検討し始めたら、まず、正確な残債を確認することが重要です。残債がわからないまま、売却を進めると、決済直前に資金不足が判明し、契約が頓挫するリスクがあります。
残債を確認する方法
- 返済予定表(償還表):借入時に金融機関から受け取った書類。毎回の返済額と残高の推移が記載されている
- 残高のお知らせ・年末残高証明書:毎年、金融機関から送付される書類(住宅ローン控除用)
- ネットバンキング・アプリ:金融機関のサイトで現在の残高を確認できる
- 金融機関の窓口・電話:残高証明書の発行を依頼できる(手数料がかかる場合がある)
- 通帳の記帳:引き落としの履歴から残高を推定する
返済予定表はあくまで、予定です。繰上返済や金利の変動で実際の残高と異なる場合があります。正確な残高は金融機関に確認しましょう。
完済に必要な金額
売却時に必要な金額は残債だけでは、ありません。次のような、費用を含めた、完済額を確認しましょう。
- 元金の残高
- 決済日までの、未払い利息
- 繰上返済手数料(金融機関によって、無料〜数万円)
- 保証料の戻り(保証会社に前払いした場合、一部が返戻される場合がある)
- 団体信用生命保険の取り扱い(完済により、終了)
決済日を指定して、完済額を金融機関に問い合わせると、正確な金額がわかります。
売却価格と残債の比較
- アンダーローン:売却価格 > 残債。売却代金で完済でき、残りが、手元に残る
- オーバーローン:売却価格 < 残債。不足分を自己資金などで、補う必要がある
売却価格の目安は不動産会社の査定で確認します。詳しくは、オーバーローン、アンダーローンの項目をご覧ください。
複数のローンがある場合
住宅ローンのほか、リフォームローン・教育ローン・カードローンなどを、組んでいる場合、これらに、不動産の担保が設定されている場合があります。登記簿(乙区)で設定されている、抵当権の数と債権額を確認しましょう。
ペアローン(夫婦それぞれが、ローンを組んでいる)や連帯債務の場合はすべての債務の残債を合算して、確認する必要があります。詳しくは、連帯保証人・連帯債務者がいる場合の売却の項目をご覧ください。
モデルケース:残債確認で資金計画を立てた例(イメージ)
Hさんは、売却を検討し始め、ネットバンキングで住宅ローンの残債を確認しました。残債は2,300万円でした。不動産会社の査定は2,100万円〜2,400万円でオーバーローンの可能性がありました。
Hさんは、自己資金で補える範囲を確認し、住み替えローンの利用も検討しました。早い段階で残債を把握していたため、売却価格の下限を設定でき、無理のない、資金計画を立てられました。
残債確認のよくある落とし穴
残債の確認でよくある落とし穴は返済予定表の残高をそのまま、現在の残債と思い込むことです。借入から年数が経つと、繰上返済や金利の変更(変動金利の見直し)、返済方法の変更などにより、実際の残高が予定表と異なっていることがあります。
また、団体信用生命保険の保険料や保証料がローンに含まれているケースでは、完済時に戻ってくる金額があり、実際の完済額が変わる場合もあります。さらに、住宅ローンのほかに同じ物件を担保とする、リフォームローンなどが、別にある場合は見落としがちです。登記簿の乙区を確認し、すべての抵当権を把握しておきましょう。