原価法とは
原価法は不動産鑑定評価基準に定められた、3つの手法のひとつで、評価対象の不動産を価格時点で再び、造る(取得する)場合に必要な費用(再調達原価)を求め、その金額から経年劣化などによる、価値の減少分(減価修正)を差し引いて、価格を算出する方法です。
主に建物の評価で使われます。また、造成済みの宅地の評価でも、使われる場合があります。
計算の考え方
価格 = 再調達原価 −(再調達原価 × 減価率)
たとえば、再調達原価が2,000万円の木造住宅で築20年が経過し、減価率が70%の場合、建物の価格は2,000万円 − 1,400万円 = 600万円です。
再調達原価は現在の建築費(構造・仕様・面積による)をもとに、算出します。減価率は築年数・残存耐用年数・建物の状態などから、判断します。
減価修正の要因
- 物理的要因:経年による劣化・損耗(外壁の傷み、設備の老朽化など)
- 機能的要因:間取り・設備が現在の水準に適合していない(古い設計・設備)
- 経済的要因:周辺環境の変化・需要の低下による、価値の低下
これらの要因を総合して、減価修正が行われます。
築年数と建物の評価
不動産会社の査定では、築年数に応じて、建物の価値を評価するのが、一般的です。木造住宅の場合、法定耐用年数は22年ですが、実際の査定では、築20〜25年で建物の価値がほぼ、ゼロに近づくと、評価されることが多くあります。
ただし、建物の状態が良好な場合やリフォームが行われている場合は築年数が古くても、価値が評価されることがあります。逆に劣化が激しい場合は築年数の割に評価が低くなる場合もあります。
売却での、考え方
- 古い建物は評価が低くなるため、土地の価値が価格の中心になる
- 解体して更地にするか、古家付きで売るかは、建物の評価を踏まえて、判断する
- 建物の評価はリフォームやメンテナンスの状況で変わる場合がある
- 建物の状態を把握するためにインスペクション(建物状況調査)を検討する
売主は建物の価値が築年数とともに、下がることを理解したうえで、売却戦略を検討することが大切です。
原価法の限界と他の手法との併用
原価法は建物の費用を積み上げて、評価するため、市場の需給を直接、反映しません。このため、原価法で求めた、価格(積算価格)と実際の取引価格に乖離が生じる場合があります。
実務では、取引事例比較法・収益還元法と併用して、価格を総合的に判断します。詳しくは、取引事例比較法、収益還元法の項目をご覧ください。
モデルケース:築年数による、建物評価の違い(イメージ)
同じ、再調達原価2,000万円の木造住宅でも、築10年と築30年では、評価が異なります。築10年であれば、減価率が約35%で、建物の価格は約1,300万円。築30年であれば、減価率が約85%以上で建物の価格は約300万円以下となります。
築30年の家は建物の価値が小さく、土地の価値が価格の中心です。この場合、解体して、更地で売る方が有利なのか、古家付きで売る方が有利なのかを、慎重に検討します。