物理的瑕疵とは
物理的瑕疵とは、土地や建物に物理的な欠陥や不具合があることをいいます。民法改正前は「隠れた瑕疵」と呼ばれていましたが、現在は「契約の内容に適合しない」不具合として、契約不適合責任の対象となります。
売主が不具合の存在を知っているのに、告げずに、売却すると、契約不適合責任を問われるだけでなく、悪質な場合は詐欺や告知義務違反として、扱われる可能性もあります。
建物の主な物理的瑕疵
- 雨漏り:屋根、外壁、サッシ、ベランダからの浸水
- シロアリ・害虫被害:土台・柱などの食害
- 構造部の腐食・劣化:基礎のひび、柱の傾き、腐食
- 給排水管の不具合:漏水、詰まり、腐食
- 設備の故障:給湯器、エアコン、換気扇などの、動作不良
- 断熱・結露の問題、カビ、アスベストの使用
これらの不具合は見えない部分(天井裏、床下など)に潜んでいる場合もあります。売主が把握できる範囲で正直に伝えることが大切です。
土地の主な物理的瑕疵
- 地盤の軟弱・沈下・液状化のリスク
- 土壌汚染(過去の工場やガソリンスタンドなど土地利用の履歴による)
- 地中埋設物(古い基礎、井戸、浄化槽、ガラなど)
- 擁壁の不具合・崖崩れの危険
- 越境物(隣地からの、樹木の枝・配管など)
とくに、地中埋設物や土壌汚染は買主が建築を行う際に判明し、高額な費用が発生する場合があるため、トラブルになりやすい事項です。
告知の方法:物件状況報告書・付帯設備表
売主は物件の状況を買主に伝えるため、「物件状況報告書(告知書)」と「付帯設備表」を作成します。物件状況報告書には、雨漏り、シロアリ、給排水管の故障、地盤・土壌の問題、近隣の状況などを、記載します。付帯設備表には、エアコン、給湯器、照明器具などの、設備の有無と故障の状況を記載します。
これらの書類は売買契約書の添付書類として、買主に交付されます。記載の内容は後で買主との、トラブルの際の判断基準になります。「知っていたこと」「気づいていたこと」はすべて、記載しましょう。詳しくは、付帯設備表・物件状況等報告書の項目をご覧ください。
売却前にできる対策
売却前に建物の状態を専門家に診断してもらう「インスペクション(建物状況調査)」を実施すると、不具合を早期に把握できます。把握した不具合は告知するか、修繕してから、売却することで、売却後のトラブルを減らせます。
また、「既存住宅売買瑕疵保険」に加入すると、売却後に不具合が見つかった場合の補修費用を保険でカバーできる場合があります。買主の安心感も高まり、売却に有利に働くこともあります。詳しくは、インスペクション、既存住宅売買瑕疵保険の項目をご覧ください。
よくある誤解と注意点
誤解1:「知らなかった不具合は責任がない」。契約書の特約によりますが、責任を問われる場合があります。
誤解2:「免責の特約があれば、何を隠しても、大丈夫」。売主が知っていて、告げなかった事実は免責されません。
誤解3:「古い家だから、不具合があって、当然」。古い家でも、知っている不具合は告知する必要があります。
契約不適合責任については、契約不適合責任の項目もご覧ください。
モデルケース:告知を丁寧に行い、トラブルを防いだ例(イメージ)
Dさんは、築35年の戸建てを、売却しました。物件状況報告書に「数年前に浴室の水漏れがあり、修繕した」「2階の窓まわりから、まれに、雨水が入ることがある」と正直に記載しました。
買主はこれらを、承知のうえで、価格交渉のうえ、購入を決めました。引き渡しから、数か月後、2階の窓まわりから、雨水が入りましたが、告知済みであったため、トラブルには、なりませんでした。正直な告知が売主を守る例です。