インスペクションとは
インスペクション(建物状況調査)は中古住宅の劣化や不具合の状況を専門家が調査する、診断です。国土交通省が定める、講習を修了した、建築士(既存住宅状況調査技術者)が行います。
調査の対象は建物の基礎・外壁・屋根・柱・梁・床・天井・小屋組など構造耐力上、主要な部分と雨水の浸入を防止する部分です。主に目視や計測器による、非破壊の調査で行われます。
調査でわかること
- 基礎のひび割れ・欠損・不同沈下
- 外壁・屋根の劣化・ひび・雨漏りの、痕跡
- 柱・梁の傾き・腐食・シロアリ被害の兆候
- 床・天井・壁の傾き・たわみ・雨染み
- 小屋裏・床下の状況
- 配管の劣化(オプション調査の場合)
調査結果は報告書として、まとめられ、劣化事象の有無・箇所・程度が記載されます。
売却前に実施するメリット
- 建物の状態を把握でき、売り出し価格・売却方針の判断材料になる
- 不具合を事前に把握し、修繕・告知できるため、契約不適合責任のリスクを減らせる
- 買主に調査結果を示すことで、安心感を与え、売却が進みやすくなる
- 既存住宅売買瑕疵保険に加入しやすくなる(保険加入には、検査が必要)
- 買主が住宅ローン控除などの、税制優遇を受けやすくなる場合がある
とくに、築年数が経った戸建ての売却では、買主の不安を解消する手段として、有効です。
費用と実施の流れ
インスペクションの費用は建物の規模・調査の範囲によって、異なります。一般的な戸建てで、数万円〜十数万円が目安です。床下・屋根裏の調査や配管の詳細調査を追加すると、費用が増えます。
- 不動産会社、または、インスペクション会社に相談・依頼する
- 日程を調整し、調査を実施する(所要時間は2〜3時間程度)
- 調査報告書が作成される(数日〜1週間程度)
- 結果を確認し、修繕・告知・価格への反映を検討する
調査には、売主が立ち会うのが、一般的です。
結果が悪かった場合の対応
調査で不具合が見つかった場合は次の対応が考えられます。
- 修繕してから、売却する(費用と売却価格への、影響を比較して、判断)
- 修繕せず、不具合を告知して、現状のまま、売却する(価格を調整)
- 買取業者に現況のまま、売却する
不具合を隠して、売却することはできません。結果は正直に買主に伝えましょう。
制度化されたインスペクションの扱い
2018年4月から宅建業者は媒介契約を結ぶ際にインスペクションのあっせんの有無を書面に記載し、依頼者に説明する義務があります。また、買主に対する、重要事項説明では、インスペクションを実施している場合はその結果の概要を説明する必要があります。
売主は不動産会社にインスペクションのあっせんを、依頼できます。実施するかどうかは、売主の判断です。
モデルケース:インスペクションで安心して、売却できた例(イメージ)
Gさんは、築28年の戸建てを、売却する前にインスペクションを実施しました。調査の結果、外壁に軽微なひび割れが、あり、屋根裏に過去の雨漏り跡が見つかりました。すでに、修繕済みで、現在の雨漏りは、ありませんでした。
Gさんは、調査報告書を買主に提示し、修繕の履歴も説明しました。買主は状態を把握した上で安心して、購入を決めました。契約書の特約も明確に定められ、売却後のトラブルはありませんでした。