備えが必要な理由
売却後に買主から契約不適合責任を問われると、補修費用の負担や代金の減額、場合によっては、契約の解除に至る可能性があります。売主にとって、大きな負担となるため、事前に備えておくことが重要です。
契約不適合責任の基本的な内容は、契約不適合責任の項目をご覧ください。ここでは、売主の備えを、時系列で整理します。
売却前の備え
- インスペクション(建物状況調査)を実施し、不具合を把握する
- 判明した不具合は修繕するか、告知して、現状のまま、売却する
- 過去の修繕・リフォームの履歴を整理する(書類・写真)
- 近隣トラブル・過去の事案などの、事実を整理する
- 境界・越境の状況を確認する
詳しくは、インスペクションの項目をご覧ください。
売却時の備え
- 物件状況報告書・付帯設備表に知っている事実をすべて、記載する
- 契約書の特約で責任の期間を短縮する(個人売主は引き渡しから、3か月などが、一般的)
- 責任の対象を一定の事項(雨漏り・シロアリ・主要構造部の腐食・給排水管の故障など)に限定する
- 「現状有姿」の売買であることを明記する
- 既存住宅売買瑕疵保険に加入する(買主が安心し、売主の責任も軽減される)
特約を定めても、売主が知っていて、告げなかった事実は免責されません。正直な告知が基本です。
売却後の対応
売却後、買主から不具合の連絡があった場合は迅速に対応することが重要です。
- 連絡を受けたら、すぐに、不動産会社に報告する
- 現地を確認し、不具合の内容・原因・時期を把握する
- 契約書の責任の範囲・期間に該当するか、確認する
- 補修・減額などの対応を協議する(必要に応じて、専門家に相談)
- 対応の経過を書面で記録する
感情的にならず、事実と契約書に基づいて、対応しましょう。
保険の活用
既存住宅売買瑕疵保険は売却する住宅に一定の検査を実施して、合格した場合に加入できる保険です。売却後に構造耐力上主要な部分や雨水の浸入を防止する部分などに、不具合が見つかった場合に補修費用が保険でカバーされます。
売主の責任を軽減できるだけでなく、買主の安心感が高まり、売却に有利に働く場合があります。詳しくは、既存住宅売買瑕疵保険の項目をご覧ください。
モデルケース:備えが、トラブルを防いだ例(イメージ)
Eさんは、築30年の戸建てを、売却する前にインスペクションを実施しました。その結果、給排水管の一部に劣化が見つかり、物件状況報告書に記載し、買主に告知しました。契約書には、責任の期間を3か月とし、対象事項も限定しました。
引き渡しから、2か月後に給排水管から軽微な漏水が発生しましたが、告知済みだったため、売主の責任は問われませんでした。売却前の調査と告知・特約がトラブルを防いだ例です。