長期と短期の区分
不動産を売却して得た所得は所有期間によって、「長期譲渡所得」と「短期譲渡所得」に区分されます。区分の基準は売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えているかどうかです。
- 長期譲渡所得:売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えている
- 短期譲渡所得:売却した年の1月1日時点で所有期間が5年以下
ここでいう「所有期間」の始まりは、不動産を取得した日(購入した日、または、相続・贈与で取得した日)です。終わりは、売却した日ではなく、売却した年の1月1日です。
税率の違い
- 長期:所得税15% + 住民税5%(復興特別所得税を加えて、約20.315%)
- 短期:所得税30% + 住民税9%(復興特別所得税を加えて、約39.63%)
短期は長期の約2倍の税率です。たとえば、譲渡所得が1,000万円の場合、税額の差は約190万円になります。
所有期間の数え方の具体例
たとえば、2021年3月15日に購入した不動産を2026年10月に売却したとします。売却した年(2026年)の1月1日時点で所有期間は4年9か月です。5年を超えていないため、短期譲渡所得になります。
一方、同じ不動産を2027年1月に売却した場合、売却した年(2027年)の1月1日時点で所有期間は5年9か月となり、長期譲渡所得になります。このように、売却を年をまたいで、数か月遅らせるだけで、税率が大きく下がる場合があります。
相続・贈与の場合の所有期間
相続で取得した不動産は亡くなった方の取得日を引き継ぐため、亡くなった方が5年を超えて所有していたのであれば、相続した直後に売却しても、長期譲渡所得になります。
贈与を受けた場合も贈与した方の取得日を引き継ぎます。ただし、贈与税や特例の適用関係は複雑です。専門家に確認しましょう。
特例との関係
マイホームの売却で3,000万円特別控除などの特例を使える場合、所有期間の長さにかかわらず、控除の適用を受けられます。また、10年を超えて所有した場合には、さらに税率が低くなる「軽減税率の特例」もあります。
投資用の不動産や相続した空き地など特例が使えない不動産では、長期・短期の区分が税額を決定的に左右します。売却の時期を決めるときは必ず、所有期間を確認しましょう。
売却時期を決めるときの考え方
所有期間が5年を超える直前であれば、売却を数か月遅らせることで、税負担を大きく減らせる場合があります。ただし、売却を遅らせることで、市況が下がったり、買主が見つからなかったりするリスクもあります。
税額の差と遅らせることによるリスクや維持費を比べて、判断しましょう。売却のタイミングについては、売却のタイミングのページもご覧ください。
モデルケース:年をまたぐ売却の例(イメージ)
Jさんは、2021年11月に購入した土地を2026年12月に売却する予定でした。この場合、売却した年(2026年)の1月1日時点で所有期間は4年2か月です。短期譲渡所得になります。
譲渡所得が800万円だとすると、短期の税額は約317万円、長期の税額は約163万円で約154万円の差があります。Jさんは、買主と相談し、引き渡しを、2027年1月以降にずらすことで、長期譲渡所得として、売却しました。
売却の時期をずらせるかどうかは、買主の事情や契約の内容次第です。早めに、不動産会社や税理士に相談しましょう。
長期・短期の判断で見落としやすい点
所有期間の判定では、「取得した日」がどの日にあたるかを、正確に把握することが重要です。購入の場合は通常、引き渡しを受けた日、または、売買契約の効力が発生した日のどちらかを、取得日とするのが一般的です。ただし、どちらを基準にするかは、税務上の取り扱いが定められているため、確認が必要です。
また、建物の新築の場合は建物が完成して、引き渡しを受けた日が取得日になります。土地を先に購入して、後から建物を建てた場合、土地と建物で取得日が異なるため、それぞれの所有期間を判定しなければなりません。
売却した日についても、契約日と引き渡し日のどちらを基準とするかを、選択できる場合があります。この選択によって、所有期間の判定が変わり、長期・短期の区分が変わることもあります。判断に迷う場合は税理士に相談しましょう。