不動産を売るタイミングの考え方
「いつ売るのが一番よいか」は、多くの方が悩むポイントです。市場の動きと、ご自身の事情の両面から、考えてみましょう。
季節による需要の傾向
不動産は、季節によって、買主の動きが変わる傾向があります。
- 1〜3月ごろ:進学・転勤に伴う住み替え需要が高まりやすい
- 9〜11月ごろ:気候が落ち着き、住宅を探す方が動きやすい
- 夏・年末年始:動きが落ち着く傾向がある
ただし、季節だけで価格が決まるわけではありません。ご自身の事情を優先し、市況は、参考として捉えましょう。
売却の節目になる時期
所有期間が5年を超える年
売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えると、税率が低くなります。
住まなくなってから3年
マイホームの3,000万円特別控除は、住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までの売却が条件です。
相続から3年10か月
相続税の取得費加算の特例を使える期限の目安です。
築年数の節目
築10年・20年・30年などの節目で、評価が変わる場合があります。
住宅ローン完済・金利の変動
金利の動向は、買主の借入額に影響します。
相続登記の期限
相続を知った日から3年以内に、登記が必要です。
売却スケジュールの立て方
引き渡しの希望時期から逆算して、売却活動を始める時期を決めます。
- 引き渡したい時期(例:住み替え先の入居日)を決める
- 売却活動の期間(仲介の場合は、数か月)を見込む
- 査定・媒介契約・準備(書類・片付け)の期間を逆算する
- 税制の期限や、所有期間の節目を確認する
買取を選ぶ場合は、短期間で進められるため、期限が迫ってからでも、相談できる場合があります。
「もう少し待てば高く売れる」の落とし穴
市況が上がることを期待して、売却を先延ばしにする方もいます。しかし、待つ間にも、次のようなコストやリスクが発生します。
- 固定資産税・管理費が、毎年かかる
- 建物の劣化が進み、評価が下がる
- 周辺に、競合する売り物件が増える
- 相続や、家族の事情が変わり、売却が難しくなる
売却時期を決める際は、「待つことで得られるメリット」と「待つ間にかかる費用・リスク」を、比べて判断しましょう。
時期を判断するときの考え方
不動産の売却時期を考えるときは、「外部の要因」と「ご自身の事情」を、分けて整理するとわかりやすくなります。外部の要因には、季節ごとの需要、金利、税制、周辺の開発状況などがあります。ご自身の事情には、住み替えの期限、資金が必要な時期、家族の状況、物件の管理の負担などがあります。
外部の要因は、自分でコントロールできません。一方、ご自身の事情は、優先順位を決めることで、時期を絞り込めます。たとえば、「いつまでに現金が必要か」「いつまでに引っ越したいか」が決まれば、そこから逆算して、売却活動を始める時期が決まります。
売却を先延ばしにするデメリットも、見落とせません。建物は、築年数が進むほど評価が下がりやすく、空き家は管理の負担が続きます。相続した不動産では、相続登記の期限や、相続税の特例の期限など、時期に関する要件が、売却の判断に影響します。
時期を決める前に確認したいこと
- 売却したい最終期限(引き渡したい日)
- 所有期間が5年を超える年かどうか
- 3,000万円特別控除などの期限
- 相続登記・相続税の申告の期限
- 固定資産税の課税基準日(1月1日)
- 売却活動にかかる期間の見込み
売却時期の判断例(イメージ)
たとえば、来年の春に、転勤のため、今の家を引き渡したい方がいるとします。この場合、引き渡しの時期から逆算し、売り出しを秋ごろに始めれば、数か月かけて買主を探す余裕が生まれます。
一方、所有期間がまもなく5年を超える場合は、売却の時期を、数か月ずらすだけで、税率が下がる可能性があります。このように、事情と制度の両方を重ね合わせて、時期を決めていきましょう。
時期の確認チェックリスト
- 引き渡したい期限を決めた
- 所有期間の節目を確認した
- 税の特例の期限を確認した
- 売却にかかる期間を、不動産会社に確認した
- 売却を延ばした場合の費用(税金・管理費)を試算した
- 急ぐ場合の選択肢(買取)も、確認した
売却時期でよくある失敗
「もう少し待てば」と先延ばしにする
待つ間の費用・劣化・リスクを、考慮しましょう。
税の特例の期限を、過ぎてしまう
期限は、必ず確認しておきます。
相続登記の期限を、見落とす
取得を知った日から3年以内に、登記が必要です。
引き渡しの期限から逆算していない
売却には、数か月かかる場合があります。余裕を持ちましょう。
春先に間に合わせようとして、準備不足になる
準備が整ってから売り出すほうが、結果的に有利です。
市況を、気にしすぎる
ご自身の事情を優先して、市況は参考にします。
状況別・売却時期の考え方
| 状況 | 考え方 |
|---|---|
| 住み替えの期限がある | 引き渡し日から逆算して、売り出しを決める |
| 相続した不動産 | 相続登記・税の特例の期限を確認して、早めに動く |
| 所有期間がまもなく5年 | 税率の違いを確認して、時期を調整する |
| 空き家で管理が負担 | 早めに売却・買取を検討する |
| 資金が必要 | 買取を含めて、確実に期限に間に合う方法を選ぶ |