二重譲渡とは
二重譲渡とは、同一の不動産を複数の人に売却(譲渡)する行為です。たとえば、売主がAさんと、売買契約を結んだ後により高い価格を提示した、Bさんとも、売買契約を結ぶようなケースです。
民法第177条では、不動産に関する物権の得喪は登記をしなければ、第三者に対抗できないと、定められています。つまり、AさんとBさんの、どちらが、先に契約したかではなく、先に所有権移転登記を受けた方が所有権を主張できます。
売主のリスク
- 後の買主に物件を引き渡せず、債務不履行責任(損害賠償・違約金)を負う
- 契約解除・手付金の倍返し・損害賠償の請求を受ける
- 悪質な場合は詐欺・背任などの、刑事責任を問われる可能性がある
- 不動産会社の信用・免許にも、影響する
売主として、1つの不動産について、複数の契約を結ぶことは避けなければなりません。
買主のリスクと防止策
- 登記簿(登記事項証明書)で売主が所有者であることを確認する
- 売買契約と同時に所有権移転の仮登記・予告登記などを、検討する
- 決済時に代金の支払いと、所有権移転登記の申請を同時に行う(司法書士が立ち会う)
- 手付金の額を抑え、残代金の支払い時に登記を確認する
不動産会社を通じた、取引では、決済当日に司法書士が登記を申請するため、二重譲渡のリスクは低くなります。
売主として、気をつけること
- 1つの物件については、1つの売買契約を結ぶ
- 買付証明書が複数、入った場合は売主が1人の買主を選んで、契約する(他の買主に断りを、入れる)
- 契約後により高い、条件の買主が現れても、手付解除の期日内でなければ、解除できない
- 契約を解除する場合は手付解除・合意解除の手続きを、適切に行う
詳しくは、手付金と手付解除の項目をご覧ください。
複数の買主からの申込みへの対応
人気物件では、複数の買主から買付証明書が提出されることがあります。この場合、売主は条件を比較して、1人の買主を選びます。選ばなかった買主には、不動産会社を通して、丁寧に断りを、伝えます。
契約を結ぶまでは、買付証明書は法的拘束力がないため、選び直すことも可能です。ただし、買主との、信頼関係に配慮しましょう。詳しくは、買付証明書の項目をご覧ください。
万一、発生した場合
- 事実関係を確認する(契約の日付・登記の状況)
- 不動産会社・司法書士・弁護士に相談する
- 先に登記した買主が所有権を取得する場合、後の買主に損害賠償を行う
- 後の買主と示談・合意解除を協議する
- 不動産会社が関与している場合は仲介責任の有無も確認される
二重譲渡が発生した場合は速やかに、弁護士に相談しましょう。
モデルケース:決済時の登記でリスクを防いだ例(イメージ)
Kさんは、不動産会社を通して、土地を売却する契約を結びました。契約後に別の買主からより高い価格の提示がありましたが、Kさんは、既存の契約を守り、断りました。
決済当日、司法書士が代金の授受を確認した上で所有権移転登記を申請し、買主は確実に所有権を取得しました。誠実な対応と決済時の登記が二重譲渡のリスクを防いだ例です。