契約の解除とは
契約の解除とは、すでに成立した、売買契約を一方の意思表示、または、当事者の合意によって、取りやめることです。解除には、いくつかの種類があり、それぞれ、要件や金銭負担が異なります。売主として、売却を進める際には、どのような場合に解除が可能か、解除した場合の負担はどうなるかを、理解しておく必要があります。
解除の主な種類
- 手付解除:買主は手付金を放棄、売主は倍額を償還して、契約を解除する(期日内に限る)
- 債務不履行による解除:相手方が契約上の義務を果たさない場合に催告のうえ、解除する(違約金が発生する場合がある)
- 合意解除:当事者の合意によって、契約を解除する(条件は話し合いで、決める)
- ローン特約による解除:買主が融資を受けられなかった場合に契約を白紙に戻す
- 契約不適合による解除:引き渡された物件に重大な不適合があり、契約の目的を達成できない場合
- 危険負担による解除:引き渡し前に物件が滅失した場合に買主が解除する
それぞれの詳細は、手付金と手付解除、住宅ローン特約、危険負担の項目もご覧ください。
違約金とは
違約金とは、契約に違反した当事者が相手方に支払う、賠償金のことです。売買契約書に「違約金は売買代金の10%(または20%)とする」といった、定めを置くのが、一般的です。
不動産の売買契約では、違約金の額は売買代金の10〜20%程度に設定されることが多いです。宅建業者が売主の場合は宅建業法により、損害賠償額の予定と違約金の合計が売買代金の20%を、超えてはならない、とされています。
違約金は契約の違反によって、相手方が被った損害を補うためのものです。実際の損害が違約金を上回る場合は別途、損害賠償を請求できるかどうかは、契約書の定めによります。
債務不履行による解除
債務不履行とは、契約上の義務を果たさないことです。たとえば、買主が残代金を期日までに、支払わない、売主が物件を引き渡さない、といったケースです。
相手方が債務不履行に陥った場合はまず、一定の期間を定めて、履行を催告します。それでも、履行されない場合に契約を解除できます。解除した場合は違約金を請求できます。契約書に「催告なしに、解除できる」と定められている場合もあります。
合意解除の進め方
売主・買主の双方が納得して、契約を取りやめる場合は合意解除となります。契約の解除の条件(手付金の返還、違約金の有無、費用の負担など)を話し合いで、決め、書面(合意解除書)にまとめます。
合意解除は手付解除の期日を過ぎた後でも、可能です。ただし、一方的に解除を求めることはできません。相手方の損害を補う形で条件を調整することが多くあります。合意解除書には、解除の理由、手付金の取り扱い、費用の精算などを、明記しましょう。
解除する前に確認したいこと
- 契約書の解除条項(手付解除の期日、違約金の額)
- 解除の理由が契約上の正当な理由に当たるか
- 解除によって、生じる金銭負担(手付金の放棄、違約金、損害賠償)
- 解除の通知の方法(書面・内容証明郵便など)
- 不動産会社の仲介手数料の取り扱い(解除の理由によって、異なる場合がある)
解除は相手方に大きな影響を与えます。安易に解除を申し出る前に不動産会社や弁護士に相談しましょう。
モデルケース:解除をめぐって、合意に至った例(イメージ)
Iさんは、土地を売却する契約を結びましたが、契約後に家族の事情で売却を取りやめたくなりました。手付解除の期日はすでに、過ぎており、一方的に解除すると、違約金(売買代金の10%)が発生する状況でした。
Iさんは、買主と話し合い、解除に合意してもらう代わりに、買主が被った、調査費用などの実費を負担しました。結果的に違約金より少ない負担で解除できました。誠実な話し合いが、解決につながった例です。