住宅ローン特約とは
住宅ローン特約は買主が住宅ローンを利用して、不動産を購入する場合に売買契約書に盛り込まれる特約です。「融資利用の特約」「ローン条項」とも呼ばれます。買主の住宅ローンの審査が通らなかったり、融資の承認が期限までに、得られなかったりした場合に買主が契約を白紙に戻せる、という内容です。
買主にとっては、ローンが通らなかった場合に違約金や手付金の放棄といった、不利益を受けずに、契約から離れられる、重要な保護制度です。
特約の内容
- 融資を受ける金融機関と融資の金額
- 融資の承認の期限(例:契約から1か月後)
- 融資が承認されなかった場合に買主が契約を解除できること
- 解除された場合、売主は受け取った手付金などを、無利息で買主に返還すること
- 解除の方法(書面による通知など)と期限
期限や条件は契約ごとに、異なります。契約書の記載をよく確認しましょう。
売主にとってのリスク
ローン特約は買主を守る制度ですが、売主にとっては、契約が白紙になるリスクがあります。契約を結んで、売却の準備を進めていたのに、ローンが通らず、契約が解除されると、売却活動を最初からやり直さなければなりません。
このリスクを減らすには、契約の前に買主の住宅ローンの事前審査(仮審査)の結果を確認しておくことが有効です。事前審査に通っていれば、本審査も通る可能性が高くなります。不動産会社を通じて、買主の資金計画を確認しましょう。
特約の期限に注意
ローン特約には、融資の承認の期限が設けられています。期限までに、買主が融資の承認を得られなかった場合に解除が可能になります。期限が長すぎると、売主は契約が不安定な状態が続きます。
一般的には、契約から2〜4週間程度で本審査の結果が出るため、期限は1か月程度に設定されることが多いです。期限の設定は売主・買主の交渉で決められます。詳しくは、住宅ローン特約の期限切れの項目もご覧ください。
ローン特約と手付解除の関係
ローン特約による解除と手付解除は別の制度です。手付解除は買主が手付金を放棄して、契約を解除する制度ですが、ローン特約による解除は手付金を放棄せずに、契約を白紙に戻せる点が違います。
ローン特約の期限が手付解除の期日より後になる場合は買主は手付解除の期日を過ぎても、ローン特約で契約を解除できるため、両者の関係を契約書で確認しておくことが重要です。
よくある誤解と注意点
誤解1:「ローン特約があれば、買主はいつでも、解除できる」。特約の期限内に融資の承認を得られなかった場合に限られます。
誤解2:「ローンが通らなければ、手付金は返ってこない」。ローン特約による解除の場合は手付金は返還されます。
誤解3:「ローン特約は売主に不利なだけ」。買主の資金計画の確認をしっかり行えば、リスクは減らせます。
モデルケース:ローン特約で契約が白紙になった例(イメージ)
Bさんは、戸建てを、3,000万円で売却する契約を結びました。買主は住宅ローンを利用する予定で契約書には、ローン特約(期限:契約から30日)が盛り込まれていました。
契約から25日後、買主の本審査が否決され、買主はローン特約にもとづいて、契約を解除しました。Bさんは、受け取っていた手付金を買主に返還しました。売却活動を再開し、2か月後に別の買主と契約できました。事前審査の確認が不十分だった例ですが、特約があったため、トラブルには、なりませんでした。