個人と法人の売却の違い
不動産の売主が個人の場合と法人の場合では、税金の計算方法や必要な手続きが、異なります。個人が自宅や相続した不動産を売却する場合は譲渡所得として、分離課税が適用されます。一方、法人が保有する不動産を売却する場合は売却益が法人の所得に算入されます。
売却を検討する際には、売主が個人か、法人かを、明確にして、それぞれに、適した、手続きと税務を確認する必要があります。
税金の違い
- 個人:譲渡所得(所得税・住民税)。長期・短期の区分があり、税率が異なる。居住用財産には、3,000万円特別控除などの特例がある
- 法人:売却益が法人の所得に含まれ、法人税・法人住民税・事業税が課される。税率は法人の所得の規模などで、異なる。個人向けの特例は使えない
- 消費税:個人の自宅の売却は非課税。法人が建物を売却する場合、課税される(土地は非課税)
法人が建物を売却する場合は消費税が課税される点に注意が必要です。売買代金の内訳を土地と建物に分け、建物部分に消費税を加算して、取引します。
契約・手続きの違い
法人が売主となる場合の契約や手続きでは、次のような書類が必要になります。
- 登記事項証明書(商業登記)(代表者の資格を証明するため)
- 代表者の印鑑証明書(法人の実印)
- 取締役会議事録・株主総会議事録(不動産の処分に必要な場合)
- 法人の実印、会社の登記簿上の住所の確認書類
法人の不動産売却では、社内での、意思決定の手続き(取締役会や株主総会の承認)が必要になる場合があります。手続きに、時間がかかる場合があるため、早めに、準備しましょう。
法人の売却で注意したい点
法人が事業用不動産を売却する場合は売却益が事業の所得に影響します。決算期や他の損益との、バランスを考慮して、売却の時期を決めると、税負担を調整できる場合があります。
また、代表者個人が所有する不動産を法人に売却する場合や逆に法人から個人に売却する場合は関連当事者間の取引となり、価格設定や税務上の取り扱いに、注意が必要です。税理士に事前に相談してください。
不動産を事業として売却する場合
個人が不動産の売買を反復継続して、行い、事業とみなされる場合は譲渡所得ではなく、事業所得(または、雑所得)として、課税される場合があります。この場合、不動産業の免許が必要になる場合もあります。
単に自分が持っている不動産を売却する(自己物件の売却)場合は免許は不要です。判断が難しい場合は専門家に相談しましょう。詳しくは、宅地建物取引業免許の項目をご覧ください。
よくある誤解と注意点
誤解1:「法人でも、個人と同じ特例が使える」。3,000万円特別控除などの、個人向けの特例は法人には、適用されません。
誤解2:「法人の不動産は土地も建物も消費税がかかる」。土地は非課税で建物は課税されます。
誤解3:「個人が何度も売買しても、譲渡所得のまま」。反復継続的な取引は事業所得などに、なる場合があります。
税務の判断は状況によって、異なります。必ず、税理士に確認してください。
モデルケース:法人が事業用の土地を売却した例(イメージ)
Sさんが、経営する会社は事業用の土地を所有していました。事業の縮小に伴い、この土地を売却することにしました。売却益は約2,000万円で会社の決算で他の損失と通算して、課税所得を圧縮しました。
契約の際には、会社の登記事項証明書、代表者の印鑑証明書、取締役会の議事録などを、用意しました。個人の売却と異なり、社内の手続きや、税務の調整が必要となる、事例です。