名義が異なるとは
不動産の名義は登記簿の権利部(甲区)に記録される所有者です。一方、住宅ローンの名義は金融機関との契約で定まる債務者で両者は別々の仕組みです。多くの場合、同じ人ですが、夫婦の事情で一致しないことがあります。
- 例1:不動産は夫名義、ローンは妻(または夫婦の連帯債務)
- 例2:不動産は夫婦の共有、ローンは夫が単独で借入
- 例3:親が名義人で子がローンを返済している(親子間の事情)
- 例4:離婚で財産分与の登記を行ったが、ローンは元の債務者のまま
売却で起きる問題
- 所有者でない債務者は売却の契約ができない
- 債務者が返済を続けるかどうかで、残債の扱いが変わる
- 売却代金でローンを完済するには、所有者と債務者の双方の協力が必要
- 抵当権の抹消に金融機関・債務者の手続きが必要
- 離婚後、一方が協力しないと、売却が進まない
売主として売買契約を結べるのは、不動産の名義人(共有の場合は全員)です。
金融機関との関係
住宅ローンの契約では、通常、不動産の名義を債務者本人とする約束があり、名義を変更すると、契約違反として、一括返済を求められる可能性があります。財産分与で名義を変更する前には、金融機関の承諾を確認しましょう。
金融機関は離婚という理由だけでは、契約条件を変更する義務はありません。承諾を得られない場合は売却して完済するか、借り換えで、名義を一致させる方法を検討します。詳しくは、連帯債務・連帯保証の項目をご覧ください。
解消の方法
- 売却して、ローンを完済する(最もすっきりする方法)
- 借り換え:不動産の名義人が新たにローンを組み、既存のローンを完済する
- 名義変更・債務の引き受け:金融機関の承諾を得て行う
- 持分の買い取り:共有名義の場合に一方が他方の持分を買い取る
どの方法も金融機関の審査・承諾が必要になる場合があります。早めに相談しましょう。
登記簿で確認すること
- 所有者の氏名・持分(甲区)
- 抵当権の債務者・債権額・債権者(乙区)
- 所有権移転の経緯(財産分与・売買・相続など)
- 共有者の有無
登記簿は法務局で取得できます。詳しくは、登記簿謄本(登記事項証明書)の項目をご覧ください。
モデルケース:名義を整理して売却した例(イメージ)
Gさんの自宅は夫名義でしたが、ローンの債務者は妻のGさんでした。離婚後、夫が売却に消極的で話が止まっていました。
弁護士を通じて、査定額・残債・売却後の手取りの資料を示し、売却の方針を提案しました。夫も納得し、売却に同意し、決済日にローンを完済しました。名義が違っても、数字を示す資料が合意に役立った例です。