不動産を所有しているがなかなか買い手が見つからない
不動産売却はもちろん買い手がいないと成立しません。価格的に相応であっても、なかなか売れないケースもあります。
相続などで、売れない土地を所有することになり、困っているという方も多いのではないでしょうか。売れない土地は、所有しているだけで固定資産税がかかったり、維持・管理義務が発生するなど、所有者にとって大きな負担となります。
売れない土地を所有していると起こるリスク
固定資産税がかかる
土地を所有していると、収益のある、なしに関わらず固定資産税が発生します。活用が難しい土地を所有している場合、毎年発生する固定資産税は大きな負担となります。
維持・管理義務を負う
土地の所有者は維持・管理義務を負っています。庭木が隣地に倒れる、不法投棄をされるなど、意図せず事件に巻き込まれ損害賠償に発展するリスクもあります。
土地が売れない原因は?
立地が悪い
最寄駅が遠く交通の便が悪い、医療機関や公共交通機関が整備されていないなど、不便な場所にある場合は売却が難しくなります。
災害リスクを抱えている
斜面地、地盤がもろい、台風や津波のリスクがあるなど、災害リスクを抱えていると土地は売れづらくなります。
境界が確定していない
境界が確定していないと売却対象範囲が分からず、建築確認申請が通らない場合もあり、活用も難しくなります。
価格設定があっていない
周辺の土地に比べて価格設定が高いと割高と思われて売れづらくなります。市場価格の調査を行い、適切な価格を設定しましょう。
土地の状態が悪い
土壌汚染や土地の形が悪い、隣人トラブルがあるといった場合には、買い手から敬遠されてしまいます。
売れない土地を手放すためのおすすめの方法
不動産会社に依頼する
買い取りをお願いする方法と、買い手を探してもらう仲介の2種類があります。立地が良い土地や活用が考えられる土地の場合は、相談してみるといいでしょう。
自治体に寄付する
自治体への寄付は無償で土地を引き取ってもらうことができます。ただし引き取ってもらえる条件が厳しく、全ての自治体で受け付けているわけではありません。
相続土地国庫帰属制度を利用する
相続や遺贈によって取得した土地は、有償で国に引き取ってもらえる制度の利用を検討しましょう。利用には条件があり、審査手数料は返還されません。
相続放棄をする
相続を知った日から三ヵ月以内であれば相続放棄も可能です。ただし故人の全ての財産を相続できなくなる点に注意が必要です。
マッチングサイトを利用する
土地の売買に関心が高い人が集まっているため成約率が特徴。ただし利用料金がかかる場合や、買い手が現れるまで時間がかかる可能性があります。
引き取り業者に依頼する
専門の引き取り業者は条件がゆるく、不動産会社や自治体に断られた土地でも引き取ってもらえる可能性が高いです。費用がかかる場合があります。
売れない土地を少しでも高く売る方法
更地にする
老朽化した建物や物置がある場合は、更地にすることで解体の手間・費用を買主が負担せずに済み、買い手がつきやすくなります。
駐車場にする
立地によっては月極駐車場として活用する方法もあります。アパート経営などと比較して初期費用を抑えて始められます。
トランクルーム用地にする
住宅密集地であれば、トランクルームの用地として活用する方法もあります。競合の参入が少なければ安定収入を見込めます。
高く売るためには先行投資が必要な場合が多く、投資額を回収できる保証はありません。土地を保有し続けることで固定資産税や維持管理費が積み重なるリスクもあるため、状況によっては早期処分に切り替えることで、早めの損切りによって出費を抑えるという考え方もできます。
売れない土地・不動産のタイプ別の対処
「売れない」と一括りにせず、何が原因かを切り分けると、打てる手が見えてきます。
市街化調整区域の土地
原則として建築が制限されるため、買主が限られます。建築できる条件の確認や、買取の相談が有効です。
農地・山林
農地法の許可が必要になる場合があります。農地のまま売る、転用して売るなど、方向性を整理します。
再建築不可・無道路地
接道義務を満たさない土地です。隣地所有者への売却や、買取が選択肢になります。
旗竿地・不整形地
形状が使いにくいため、価格が下がりやすい土地です。隣地との一体利用を提案できる場合もあります。
傾斜地・擁壁のある土地
擁壁の安全性や造成費が評価に影響します。現況での買取を検討する場合があります。
共有名義の土地
共有者全員の同意が必要です。持分の整理や、共有物の分割を進めます。
古家付き・空き家
解体費用や残置物がネックです。古家付きでの売却や、買取が選ばれます。
借地・底地
地主・借地人との調整が必要です。承諾料や、権利関係の確認が欠かせません。
売れない期間が長引いたときの見直し手順
反響を確認する
問い合わせや内覧の数、内覧後の感想を、不動産会社に確認します。
価格を見直す
周辺の売り出し・成約事例と比べ、価格が高すぎないかを確認します。
見せ方を改善する
写真、図面、広告文、現地の草刈りや清掃など、第一印象を整えます。
売る条件を整える
測量や境界確認、越境の整理など、買主の不安を減らす準備を進めます。
売り方を変える
更地渡し、分筆、買取など、売り方そのものを変える方法を検討します。
専門家の力を借りる
調整区域や農地、権利関係の問題は、専門知識のある会社や士業に相談します。
相続土地国庫帰属制度のポイント
相続や遺贈で取得した土地を、国に引き取ってもらえる制度です。
相続土地国庫帰属制度は、2023年4月に始まった制度です。相続などで取得した、利用する予定のない土地を、一定の要件を満たす場合に、国へ引き渡せます。
主な要件
- 建物がない土地であること
- 担保権や使用収益を目的とする権利が設定されていないこと
- 境界が明らかであること
- 崖などで、管理に過大な費用や労力がかかる土地でないこと
- 土壌汚染や、埋設物がないこと
- 通常の管理・処分を妨げる工作物・樹木などがないこと
費用と注意点
申請の際には審査手数料が、承認後には国に納める負担金(10年分の土地管理費相当額)が必要になります。審査に通らなかった場合も、審査手数料は返還されません。要件を満たさない土地は、まず不動産会社に売却・買取の相談をするほうが、現実的な場合があります。
売れない土地を持ち続けるコストの考え方
「売れないなら持っておけばよい」と考えがちですが、所有し続けることには、継続的なコストと、将来のリスクが伴います。
- 固定資産税・都市計画税が毎年かかる
- 草刈り・樹木の剪定・ごみの撤去などの管理費用がかかる
- 不法投棄や、越境した樹木による近隣トラブルのリスクがある
- 管理を怠った場合、損害賠償責任を問われるおそれがある
- 相続が発生するたびに、権利関係が複雑になる
- 年数が経つほど、境界の確認や状態の悪化への対応が必要になる
これらを合計した「持ち続ける費用」と、売却価格が下がっても早く手放したときの損得を、比べて判断することが大切です。
「売れない」には、必ず理由がある
売れない不動産には、必ず何らかの理由があります。価格が高い、立地が不便、土地の形が悪い、境界が不明確、建築の制限があるなど、原因は、さまざまです。その原因が、売主の努力で解消できるものなのか、それとも、物件そのものの特性によるものなのかを、見極めることが、第一歩です。
努力で解消できる原因には、価格の見直し、境界の確定、清掃・草刈り、写真や広告の改善などがあります。一方、物件の特性による原因(調整区域、再建築不可など)は、買主の層が限られるため、買取や、専門会社の力を借りる方法が、現実的です。
また、売れない理由は、時間とともに、変わることもあります。周辺の開発や、法律の改正、買主の需要の変化などで、以前は売れなかった物件が、売れるようになる可能性もあります。定期的に、見直しをすることが大切です。
売れない土地でよくある失敗
価格を、下げずに粘り続ける
売り出し期間が長くなり、印象が悪くなります。
原因を調べずに、同じ方法を続ける
原因の切り分けが、必要です。
専門外の会社に、頼み続ける
調整区域・農地などは、専門知識のある会社に相談します。
放置して、管理を怠る
リスクとコストが、増えていきます。
相続人が増えて、権利が複雑になる
世代を重ねるほど、整理が難しくなります。
「どうせ売れない」と諦める
売り方を変えれば、売却できる場合があります。